医学部合格のために必要な勉強時間は?

医学部を制するには5000時間以上が通説

最難関の医学部に合格するためには、トータル5000時間の勉強時間が必要と言われています。5000時間を高校3年間でクリアするには、高校1年生なら週20時間以上、高校2年生で週30時間以上、高校3年生で週40時間以上となります。

実際のデータで見る受験生の勉強時間

では、実際の医学部合格者はどのくらい勉強しているかというと、医学部予備校の情報サイト、医学部予備校ガイドが調査したデータがあります。
これを見ると、現役生・浪人生とも約4割の人が平日は4~6時間と答えています。12時間以上と答えている人も約2割います。休日は8時間~12時間以上の人が約8割と圧倒的です。

※医学部予備校サイト
https://igakubu-guide.com/analysis/analysis02/

本人の強い意志とノルマ管理能力が必要

この結果から、平日は学校の授業と両立しながら勉強時間を確保し、休日にまとめて勉強する、というのが受験生たちの日常であることが分かります。
生活の大半を勉強に費やし、継続的に学習していくには、サボりたい、遊びたい、趣味をしたいなど多くの誘惑を絶つ本人の強い意志と、日々のノルマ管理能力が必要になってきます。

本当に大事なのは勉強の量ではなく「質」

ただし、毎日10時間の勉強を3年間続けたからと言って、医学部の合格が約束されるわけではありません。短い勉強時間の人より、長く勉強した人のほうが優先的に合格できるわけでもありません。
大事なのは、どれだけ多く勉強に時間を費やしたかではなく、「どれだけ質の高い勉強ができたか」です。

同じ5時間でも密度が違えば結果が違う

誰しも経験があると思いますが、同じ1時間でもぼーっと過ごした1時間と、何かに集中して過ごした1時間では「密度が違う」はずです。
勉強も同じで、机の前に座って5時間テキストを開いていても、頭に入っている生徒と入っていない生徒がいます。前者はテキストを1冊終わらせ、後者は最初の数ページしか進んでいない……ということもよくあります。

成果や充実感をノルマにする

つまり、「今日は5時間も頑張った」と勉強時間をクリアすることだけで満足してしまっては危険です。濃度の薄い5時間を過ごしている可能性があるからです。
それよりも密度の濃い時間を過ごせたかに注目し、「成果」や「充実感」をノルマにすることが大事です。
成果とは、「問題集を10ページやる」とか「英単語を100個完璧に覚える」など。目に見える数量で目標を設定して、達成していきます。
充実感とは、「これができるようになった」「ここまで終わらせた」という、自身の成長に対する確信です。
成果も充実感も、いい加減な時間の過ごし方をしている人は味わうことができません。

いつまでに何をする? 医学部合格のためのスケジュール感

では、いつまでに何を抑えておくべきか。具体的な勉強のスケジュール感についてお話しします。

高2の終わり、遅くても高3夏前には基礎を抑える

進学校はどこでもそうですが、高2のうちに教科書を全部終わらせて、高3に入ると一斉に受験対策が始まります。つまり、高2のうちに「基礎」はひと通り理解できていることが前提です。
基礎とは、ざっくりと言えば、数学や物理では公式や定理の理解、英語でいえば文法や構文、基礎単語などの習得のことです。
どんなに遅くても高3の夏前には基礎ができていないと、合格は厳しいと考えてください。

高3の夏は「引き出しを増やす」勉強を

現役生にとって高3の夏休みは「勝負の夏」と言われます。学校がなく受験勉強に集中できて一気に伸びる可能性を秘めているためです。
この時期にすべきは、「引き出しを増やす」勉強です。引き出しを増やすとは、「こういう問題のときはこの公式を使う」のように、基礎で培った知識を実際の問題でどう使うかを身につけていくことです。
知識を武器にたとえるなら、武器を持っているだけでは戦いには勝てません。「いかに使うか」「どこで使うか」「使い方のコツ」などを覚えて、勝てる戦い方を習得することが大事なのです。
(※ただし、東大や九大など上位校を目指す場合は例外です。早い段階でかなり高レベルの問題を解いていかないと入試に間に合いません。秋以降の勉強についても同様です。)

高3秋はハイレベルな問題より標準を抜かりなく

医学部を目指す受験生がやりがちなことに、「難しい問題集に手を出す」というのがあります。しかし、これは解けずに自信喪失や焦りを大きくするだけで、あまり良い効果はありません。
高3の秋までは「標準レベル」の問題をしっかり固めましょう。標準レベルとは、共通テストのレベルです。医学部受験では、共通テストで9割、苦手科目でも8割取れるレベルを目指してください。
ちなみに、複数の問題集をやるか、1冊を何度も繰り返してやるかは、人によって正解が異なります。1を学んで1身につく人は、多くの問題に当たって100、200と身につけていくべきです。1を学んで5や10身につく人もいて、そういう人は1冊の問題集をやり込むほうが効率的です。

赤本は必須ではない 過去問に振り回されるな

入試直前期は過去問をやる人が多いと思いますが、特に国公立を受験する人は「赤本は必須ではない」と松原塾では教えています。
というのも、過去に出題された問題がもう一度出題される確率は、限りなく低いからです。「過去5年分は解かないと」など振り回される必要はありません。それよりも標準レベルの精度を高めることに重点を置くべきです。
私立受験の場合は、大学ごとに特色があるのでざっくりと傾向を掴む程度に解いておくと良いでしょう。
ただし、過去に一度も出たことのない単元の問題が、ある年ひょっこり出題されたという例も過去にあります。多くの受験生はノーガードのところを突かれて失点しました。だから、あまり赤本を信用しすぎないことです。
本当の実力があれば、どんな問題が出ても焦らず得点できます。

まとめ

毎日の勉強のノルマ管理や時間の使い方のトレーニング、入試本番から逆算してのスケジュール管理、入試直前対策など、医学部を目指す受験生にはすべきことがたくさんあります。
自己管理ができる受験生は自分で計画的に学習を進めていけますが、そうでない場合は無駄に時間を過ごしてしまったり、本番までに対策が間に合わなかったりしがちです。
「自学自習では荷が重い」「最短コースで合格を掴みたい」という人は、確かな知識と経験をもつ医学部専門の講師に相談し、個別のアドバイスをもらうのが最善策です。
医学部受験に特化したプロフェッショナルなら、今の学力や弱点を見極めたうえで、入試までを逆算して「今、何が必要か」「いつまでに何をすべきか」をリアルタイムで教えてくれます。

塾長 松原澄子
1987年の松原塾開校以来、一貫して少人数制の医学部受験指導に取り組む。
特に幼児期から学習習慣を定着させる手法に定評があり、独自の受験指導で九州エリアでの実績を重ねてきた。
2人の息子と1人の娘を持ち、3人全員を国立大学の医学部に現役合格させた。

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