医学部受験指導のプロに聞く 「受かる子」の5つの特徴

呼吸器外科の医師で、松原塾では高校部門統括として受験生たちの指導にあたる松原太一先生に「医学部に受かる子の特徴」を聞きました。今回はいつものコラムとは違い、記者によるインタビュー形式でお届けします。

 

合格する子の特徴① 課したノルマを前倒しでやって来る

記者:太一先生は数学と物理が専門ですが、面談や日々のコミュニケーションを通して、勉強全般の指導もされているのですね。その中で、「こういう子は高確率で医学部に受かる」という共通点はありますか? 

太一先生:5つあります。まず1つは、僕が課したノルマを必ず前倒しでやってくる子。僕は定期的に生徒と面談するのですが、その子の習熟度・理解度にあわせて個別のノルマを毎回設定します。そのノルマを期日よりも前に終わらせて、「先生、次に何をしたらいいですか」と聞いてくる子は、ほぼ合格していきますね。

記者:先生と決めたノルマを期限までにクリアしていけば、合格ラインに到達できるのに、あえて前倒しでやってくるわけですね。それだけやる気があるということでしょうか?

太一先生:やる気もそうですし、そういう子は「自覚」が違うと感じます。自覚とは「自分が受験生である」という自覚です。医学部という高い壁を超えるには、なまぬるい勉強ではいけないという自覚があるからこそ、モチベーションが高いのです。

記者:そうやって前のめりに勉強していくと、成果もすぐに出てくるものですか?

太一先生:個人差はありますが、今年の受験生では春に偏差値60だった子が意欲的にノルマをやっていった結果、夏休みの模試では偏差値75になっていました。

記者:すごい! そんなに伸びると、ますますやる気になりますね!

 

合格する子の特徴② いい意味での「横着さ」がある

記者:医学部受験では「そこそこ賢い」だけではなく、「突き抜けて賢い」子たちが集まってくると思うのですが、勉強しているのに突き抜けられない子というのは、何が足りないのでしょう?

太一先生:合格する子の2つめの特徴でもあるのですが、そういう子は「横着さ」が足りないのだと思います。ハイレベルに行ける子は、ポイントを抑えた勉強をします。全部の課題に100%の力を注ぐのではなく、重要な課題に150%を注ぎ、それ以外は50%の力で済ますというような、力の配分がうまいんですよ。
医学部以外の受験なら、“全部の課題に100%の力を注ぐ”やり方でも通用すると思うのですが、医学部はやることが多く、レベルも高いので、全部を100%でやっていると時間が足りなくなってしまうのです。

 

合格する子の特徴③ ゴールから逆算できる

記者:合格する子の3つめの特徴は何ですか?

太一先生:ゴールから逆算して今、何をするべきか、いつまでに何をするべきかを考えられる子。「1か月後の模試を目標に設定し、それに間に合うには各教科・科目の問題集を1日何ページずつ解いていけばいいか」といった逆算ができる子は、計画的に勉強していけるので、「ここ、やってなかった」という学習の“抜け”や「間に合わないから適当に」という“ムラ”がなくなります。

記者:逆算するためには、ゴールの設定ができないといけないですね。

太一先生:そうですね。ゴールの設定は自分でできればいいですが、塾では私との面談で決めていけるので設定ミスの心配はありません。先程のノルマの話にも通じますが、医学部合格までの全プロセスを俯瞰的に見られる指導者がいると、的確にゴール設定ができるので無駄なく勉強していけると思います。

 

合格する子の特徴④ 勉強のための体力がある

太一先生:4つめの特徴として、勉強をするための体力のある子。スポーツをしていて体が強いとか、長く走れる持久力があるとか、そういう意味での体力ではなく、勉強を継続していくための根気や集中力のことです。

記者:勉強のための根気や集中力というのは、どうやったら鍛えられますか?

太一先生:メンタルの鍛錬というのは、やはり子どもの頃からの積み重ねが大きいです。毎日コツコツ勉強する習慣がある子は、気分のムラで勉強したりしなかったりということがなく、決めたことを実行する意志の強さがあります。ここぞと言うときに力を出せるかどうかも、小さいうちからそういう経験を何度もしているうちに身についてくるものだと思います。

 

合格する子の特徴⑤ メンタルの切り替えができる

記者:5つめの特徴を教えてください。

太一先生:気持ちの切り替えができる子。失敗したとき、うまく行かなかったとき、それをズルズルと引きずる子は、「自分はダメだ」「医学部に向いてないかも」とネガティブなイメージが固定しやすく、自分で自分の力を殺してしまいがちです。それに対して、多少失敗しても「それはそれ」「次に行こう」と切り替えられる子は、新たな気持ちで課題に取り組めるので、うまく行きやすいのです。

記者:でも、大事な模試で結果が出せないときなど、落ち込んでしまうのは仕方がない気もします。次を向けない子はどうすればいいですか?

太一先生:点数だけを見ると「ああダメだった」となりがちですが、ミスした原因を探って理由が分かると「そうか、次はこうしよう」と思うことができるのではないでしょうか。私たち講師は生徒に「ここをこうすれば解決できる」という道筋を見せることができます。そうやって「うまく行くビジョン」を示し、「よし、やってやろう!」と思わせられるかどうかが、私たちの仕事であり、医学部受験のプロとしての腕の見せどころです。

記者:今日は為になるお話を、ありがとうございました。

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