松原塾出身の現役九大医学生・栗田奏翔(かなと)君が語る 医学部合格へのサクセス・ロード

国立医学部

今回は松原塾出身で九州大学医学部に通う、栗田奏翔君(20歳)との対談をお届けします。聞き手は塾長である私と、私の長男で現役医師であり当塾講師でもある松原太一です。
栗田君は幼稚園の頃から当塾に通い、現役で九州大学医学部に合格しました。私の目から見た彼は「勉強の勘がよく、1を言うと2や3を知る子」。しかし、勉強ができるあまり“受験を甘く見る”危うさもありました。そんな栗田君を合格へと導いた、松原塾の秘策とは――?

塾伝統の「計算テスト」が嫌だった小学校時代

松原塾では幼児期から計算演習に力を入れています。小学生になると年に2~3回全校で計算テストを行い、成績ランキングを貼り出します。小学1~3年生、4~6年生がそれぞれ同じ問題を解くので、上の学年の生徒は下の学年に負けないよう、下の学年は上の学年に勝とうとして頑張ります。

塾長:栗田君は小さい頃、計算テストが好きじゃなかったという話をお母様から聞いたんだけど、何が嫌だったの?

栗田君:テストの順位が貼りだされるプレッシャーやテスト後のやり直しが嫌でしたね。計算テストでは中学生でやるような四則演算を50問30分で解くので、難しいんです。ミスした問題は満点を取るまでやり直さなくてはならないし(笑)。その反面、恥ずかしい点数は取れないと張り合いにもなっていました。

太一先生:松原塾の計算テストは僕が子どもの頃からあったから、もう25年の伝統になるね。計算力は理系科目には不可欠なスキルで、医学部受験では大きなアドバンテージになります。速く正確に計算できると、1問解くのにかかる時間を短縮できるからです。

塾長:高校生になってから計算力を鍛えようと思っても、他の勉強が忙しくて計算演習に割ける時間は限られます。いい意味での競争意識を持たせるためにも、計算テストは当塾では大事な取り組みです。

勉強ができる子が陥りやすい「僕は出来る」の思い込み

栗田君はいわゆる勉強の飲み込みの早い生徒で、学校と塾の授業だけでも学校の定期テストではトップの常連。ただ、苦労せずとも結果が出ることで、「自分はちょっと勉強すればできる」と調子に乗ってしまった時期があったといいます。

塾長:栗田君が松原塾に来たのは幼稚園の頃だったね。当時から勉強の勘のいい子で、1つ教えただけで2も3も理解するような生徒でした。自分でも人より勉強ができるっていう自覚はあったでしょう?

栗田君:ありましたね。高校は県内有数の進学校に入りましたが、塾や学校の宿題をやるくらいでほとんど何も勉強していませんでした。それで結果が出ていたので、これでいいんだと思っていました。

太一先生:勉強がよくできるせいで、勉強をちょっと舐めてかかっていたんだよね。

栗田君:はい。でも、高校1年生の夏に鼻をへし折られましたけど(笑)。

塾長:あの特効薬で栗田君は生まれ変わった。当時の君は学校のテストでは文句なしの成績を取ってくるのに、模擬試験になると実力が出せていませんでした。学校の中でトップだからと油断していると、途中でモチベーションが切れて受験本番で足元を掬われるケースがあるんです。そうならないように、一度現実の厳しさを教えなければと思って、高1の夏に「数学の偏差値127で全国模試1位」の生徒と会わせることにしたんだよ。私たちは彼を「モンスター君」と呼んでいました。

栗田君:たしかに彼はモンスター級でした。彼と僕は塾で同じクラスになったのですが、彼は僕の3倍のスピードで問題を解き終わり、しかも満点。僕は彼より時間をかけたのに、5割正解するのが精一杯でした。レベルの違いを突き付けられて、「これはまずい……!」と目が覚めました。

太一先生:鼻っ柱を折られて奮起してからの栗田君の頑張りは凄かった! あそこから一気に学力が伸びました。

塾長:学校単位で見ると、勉強できる子は「これくらいでいい」と思ってしまうもの。でも、世の中はもっと広くて、上には上がいます。その世界を見せてあげることが、私たちの仕事です。

鼻を折られて初めて医学部受験に“本気”になれた

自分の甘さを痛感した栗田君は、「九大医学部」という高い目標を掲げます。そして、ここから彼の本気モードの勉強が始まりました。

栗田君:あの衝撃的な経験があったからこそ僕は受験を真剣に考えるようになり、勉強への意欲や態度が変わりました。

塾長:具体的には何がどう変わった?

栗田君:受験を意識して計画的に勉強するようになりました。それまでは漠然としていた目標がはっきりと見えたことでモチベーションが高まり、勉強時間も平日・休日とも大幅に増えました。九大医学部に決めたのは高3になってからです。“九州で一番高い山”を制覇したいと思いました。

太一先生:僕も九大医学部出身なので、「九州最高峰を制覇したい!」という気持ちがよく分かる。僕が栗田君は成長したなと一番感じたのは、「次に何をすればいいですか?」と質問してくるようになったこと。それ以前も「次の面談までにここまではやろう」と課題を出すとクリアしていたけど、自分から貪欲に次の課題を求めるようになっていきました。

塾長:たくさんの生徒を見て来たけど、「次に何をすればいいか」と聞ける生徒というのはほとんどいません。自分でもっと上に行きたいと思って行動する子は、十中八九、学力が伸びて医学部に合格していきます。

苦手の国語で「センター試験9割」を得点した勉強法

国公立受験では大学入学共通テストが必須で、5教科7科目の勉強をすることになります。全学部の中で最高難度の医学部に合格するためには9割以上、苦手科目でも最低7割の得点が必要です。栗田君は苦手科目をどのように克服したのでしょうか。

塾長:栗田君は国語が苦手だったけど、受験対策としてどういう勉強をしたか改めて聞かせて。医学部を目指す人は文系科目が苦手な人が多いので、きっと参考になると思います。

栗田君:九大医学部の受験では国語が必要なのはセンター試験だけで、二次試験には関係ありませんでした。得意の理系科目で点数を稼げばいいので、国語は大きく足を引っ張らない程度でいいと考えました。そのため、勉強時間も国語に多く割くということはしていません。具体的にはセンター試験の直前期に過去問10年分と予想問題集を解きました。

塾長:解くときに意識したことはある?

栗田君:時間配分と解く順番を意識しました。まず、大問4つ(現代文2題、古文、漢文)をそれぞれ何分で解くかの目安を立てます。そして、自分が得点しやすい分野の大問から解いていき、時間のかかる大問は後回しにすることで、取れる点数を逃さず確実に得点できるように心掛けました。過去問を解くなかで自分に合ったペース配分を見つけ、身体に覚え込ませていたおかげで本番では9割得点できました。

太一先生:国立医学部の勉強では“効率”が大事になってきます。効率とは無駄な勉強に時間をかけないで、得点の最大化を図ることです。栗田君のように苦手科目は大ミスをしない程度でOKとし、得意科目で得点を稼いでライバルを引き離すという戦略は、非常に理に適っていると言えます。

塾長:勉強以外では親御さんのサポートも大きかったよね。塾で朝から晩まで勉強するようになってからはお昼のお弁当を持たせて、夕方はお弁当を届けてくれて。栄養を考えた手作りのお弁当は力になったでしょう。

栗田君:はい。塾から家に帰ると部屋を適温にしておいてくれたりと、僕がストレスなく生活できるようにサポートしてくれました。親には感謝ですね。

まとめ

私は栗田君が幼稚園生のときから塾での彼を見てきました。また、親御さんと密に連絡を取り合うことで家や学校での様子をヒアリングし、「今は勉強以外に気持ちが傾いているな」「塾を辞めたいと思っているな」など心の揺れをキャッチしてきました。「勉強を甘く見ている」と私が感じたのも、そうした日々の観察から見えてきたことです。
高1の夏、「上には上がいる」ことを分からせたことは、彼が医学部合格をするうえで大きな転機となりました。このショック療法は、逆に自信を失わせてしまうリスクもあって慎重に生徒の性格やコンディションを見極めなければなりませんが、栗田君は私が思った通り、奮起してくれました。
彼は今、大学に通いながら松原塾の講師として活躍しています。彼に刺激を受けた生徒たちが、その背中を追ってくれることを期待しています。

塾長 松原澄子
1987年の松原塾開校以来、一貫して少人数制の医学部受験指導に取り組む。
特に幼児期から学習習慣を定着させる手法に定評があり、独自の受験指導で九州エリアでの実績を重ねてきた。
2人の息子と1人の娘を持ち、3人全員を国立大学の医学部に現役合格させた。

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