国立医学部に現役合格する受験生は何が違うのか?

国立医学部

今年度もいよいよ受験シーズンに突入しました! 1月15日、16日の大学入学共通テストを皮切りに、私立医学部入試、国公立医学部入試が次々に控えています。医学部受験生たちの戦いは、ここからが本番です。
松原塾は2022年で開塾から35年、高校生の指導を始めてからは14年になります。少数精鋭の塾であるため例年、高校3年生は5~6名ほどですが、そのうち3~4名が医学部に合格、進学していきます。合格率でいえば、毎年7割を超えます。そして、合格者のほとんどは、九州大学医学部をはじめとする国立医学部の合格者です。
今回は、私がこれまで関わってきた生徒たちを思い出しながら、「国立医学部に合格する生徒」の共通点や傾向をお話しします。これから国立医学部を目指す人や来年もう一度チャレンジする人にとって参考になれば幸いです。

国立医学部の人気は衰えしらず

国公立医学部のメリットとしては「学費の安さ」や「研究医になるのに強い」などがあります。私学が6年間で2000~4000万円程度かかるのに対して、国立は6年間で350万円程度の学費で済みます。また、私立医学部よりも研究費が潤沢な傾向にあり、最新の研究設備を備えている大学も少なくありません。こうしたことから、いつの時代も国立医学部の人気は高くなります。

2021年度の国公立医学部の募集定員は4005人

人気が高いということはそれだけ競争が激化するということですから、当然、ハイレベルな戦いになります。
そもそも医学部のある国公立大学は全国に50校(国立42校・公立8校)しかなく、2021年度の募集定員は前期日程3597人、後期日程408人でした。それに対する志願者は前期が1万4152人、後期が16.6倍。後期日程に至っては16.6倍の倍率となっています。

国立医学部は共通テストで正解率85~90%必要

その結果、国立医学部に合格するために求められる学力は、低い大学でも偏差値65以上、70オーバーの大学もざらです。共通テストなら例年は85~90%以上の得点がないと、二次試験に進めないことも多いのです(※2022年度は共通テストが難化したため、ボーダーラインは下がります)。つまり、苦手科目が1つでもあると、それが足を引っ張り命取りになりかねません。
私立医学部の場合は英数理の3教科4科目での受験が可能ですが、国立医学部を目指す場合は5教科7科目でまんべんなく高得点を取らなければならないのです。

国立医学部に合格する子の「学習面の3大特長」

では、どういう子が国立医学部の高い壁をクリアしていくかというと、いくつかの特長があります。まず、学習面での特長は「計算力が高い」「自分で勉強ができる」「勉強のモチベーションが高い」が挙げられます。

計算力が高い

医学部受験の主戦場は、数学と理科2科目になります。この2教科3科目で共通テストなら満点近い得点、二次試験ならボーダーライン以上を取れなくてはなりません。
そのために大きな武器となるのが「計算力」です。複雑な計算を素早く・正確に解くことができれば大幅に時間を短縮でき、計算以外のことに多くの時間を充てることができます。100分のテストのうち50分を計算に費やす人と25分でできる人とでは、後者の方が余裕がありますから、細部にまで行き届いたミスの少ない解答を作ることができます。

自分で勉強ができる

「自分で勉強ができる」というのは、自ら進んで勉強し、今より上のレベルを目指せるという意味です。
親や先生に「勉強しなさい」「この問題をやりなさい」「明日までにこれを覚えなさい」と指示されないと勉強できない子や、そばで見張られていないとサボってしまう子は、なかなか伸びていくのが難しいかもしれません。真面目だけれども言われたことしかやらない子というのも、向上心の点で伸びにくいです。

勉強のモチベーションが高い

もともと勉強が好きという子もたまにいますが、多くの場合は勉強と遊びがあれば遊びを取ります。ですから、「うちの子は遊んでばかり」と嘆く必要はありません。
勉強より遊びが好きな普通の子でも「医師になりたい」「国立の医学部に入りたい」という目標があり、本気でそうなりたいと願うなら親や先生があれこれ尻を叩かなくても自分で頑張れるものです。「この実力では国立医学部なんて程遠い」という危機感も、モチベーションを上げるきっかけになります。
当塾の卒業生で九大医学部に入った2人の対談記事を読んでもらえば、彼らが「いつ、どうやって本気になったのか」「なぜ本気になれたのか」が分かります。

国立医学部に合格する子は「性格的に素直」

性格的な特長としては「素直であること」が大事です。自分で自分の弱点や勉強の癖に気付くのは難しいことなので、先生にアドバイスをもらうべきです。それを素直に受け入れ、自分を反省して改善していける子は弱点を克服していけます。

勉強法についての意見を素直に受け入れよう

勉強がある程度できる子でも、効率の悪い勉強法をしている場合がよくあります。学校の定期テストは出題範囲が決まっており、基本的に授業でやったことのおさらいなので、医学部を目指すレベルの子ならテスト前に勉強すればそこそこの点数が取れてしまいます。
しかし、医学部受験は出題範囲も広く高度で、効率の悪い勉強法で太刀打ちできるものではありません。自分が効率の良い勉強法をできているかの客観的なチェックをしてもらい、素直に改善していきたいものです。その辺りの見極めやアドバイスは医学部受験のプロに相談するのが近道です。

国立医学部に合格する子は「家庭環境が良好」

医学部受験は長い道のりであるため、親御さんのサポートがあるのとないのとで大違いです。家庭環境の面でサポートが整っているご家庭は、お子さんの国立医学部合格率が高いです。

親が親らしく機能している

塾生たちの親子関係を見ていると、ときどき親が子どもの言いなりになっている例が見受けられます。たとえば、子どもが「松原塾は厳しいから辞めたい」「別の塾に行かせてくれれば頑張る」と言ったとき、親がそれを鵜呑みにして退塾させてしまうことがあります。そういうケースのほとんどは、別の塾に移っても同じか、ますます勉強しなくなります。それで、出戻りのように当塾に再入塾してくる親子もいるのです。
このように、子どもが「勉強してあげている」という態度で主導権をもち、親がそれに従っている関係は、医学部受験ではあまりよい結果に繋がりません。
当塾ではその子のためになることは泣いても厳しく教えます。子どもが辞めたいと言い出すことは日常茶飯事です。しかし、そういうときに親が頑として揺るがず、「塾の先生を信じて頑張りなさい」と言える親は、覚悟が違うので子どもをしっかり導いていけます。
子どもに本気を求めるなら、親も本気であることが大事です。

食事面のサポートができている

国立医学部に合格してくる子たちをよく観察していると、毎日の食事に親が気を配っていることに気づきます。今の時代はコンビニや宅配がありますから、お金だけ渡して「好きなものを買って食べなさい」と言うこともできます。それをあえて、手作りのお弁当を毎日作り続けています。
受験期になると朝から夜まで塾の自習室で勉強する子が増えますが、朝、家を出るとき昼のお弁当を持って行かせて、夕方は塾にお弁当を届けている親が多いです。
コンビニや宅配の弁当がダメというのではありませんが、どうしても栄養が偏ったり濃い味付けになってしまったりしがちです。その点、手作りは栄養バランスが考えられていて、何より愛情がたっぷりです。
厳しく長い受験を乗り切るために日々の体調管理は不可欠で、特に体や脳を作るもととなる食事は重要です。
毎日お弁当を作ってもらう・食べてもらうことそのものが、親子のコミュニケーションにもなります。

まとめ

国立医学部に合格する子の特長として学習面・性格・家庭環境に注目しましたが、ここの挙げたすべてを最初から兼ね備えている子はいません。日頃の勉強や親子関係の中で少しずつ改善していったり、私たち塾の先生たちが協力したりして、“国立医学部受験に強い子”を作っていくのです。
今、医学部受験で悩んでいる受験生や親御さんにも、きっとできます。正しい情報とアドバイスに従って、無駄な遠回りをすることなく進んでいかれることを祈念いたします。

塾長 松原澄子
1987年の松原塾開校以来、一貫して少人数制の医学部受験指導に取り組む。
特に幼児期から学習習慣を定着させる手法に定評があり、独自の受験指導で九州エリアでの実績を重ねてきた。
2人の息子と1人の娘を持ち、3人全員を国立大学の医学部に現役合格させた。

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