塾や予備校に行かずに医学部合格は可能?  独学のコツを解説!

「塾や予備校に行かずに医学部に合格した」というケースを稀に耳にすることがあります。独学で医学部に合格できれば親は塾代が助かりますし、子どもは本当の意味で自学自習が身につくので万々歳ですが、本当に学校の授業と自習のみで偏差値65超えや70超えが当たり前の医学部に合格できるものでしょうか。また、そういう離れ業をやってのける子たちは、どういう勉強や対策をしているのでしょうか。今回は「独学で医学部合格は可能か」をテーマに考えます。

塾や予備校なしで医学部合格は不可能ではないがレアケース

私は「塾や予備校に行かずに独学で医学部に合格することは不可能ではない」と思っています。時々、生まれながらに勉強の勘のいい子がいて、人から教わらなくても自分で勉強のコツを掴み、要領よく高いレベルを学んでいける、いわゆる天才型の子がいるためです。しかし、そういう特殊な例を除いて一般的な子どもが独学で医学部合格できる可能性はかなり低いと思います。

独学で医学部に受かった例は身近ではゼロ

私は今まで塾生や保護者から「学校の同級生や知り合いで、塾や予備校に行かないで医学部に合格した子がいる」という話を聞いたことがありません。私の3人の子どもも医学部ですが、彼らに確認したところ「周りでそういう話は聞かない」と言っていました。

風の噂を辿ると、家庭教師が付いていたことも

風の噂程度なら「医学部に独学で合格した猛者がいるらしい」という話を何度か聞いたことがあります。しかし、
よくよく聞くとその子は塾や予備校には通っていなかったものの、優秀な家庭教師が付いていたということです。こういう例もあるので、完全な独学で医学部に受かった例は、あったとしてもかなりレアケースだと思います。

県内トップ校でも独学で大丈夫とは言えない

独学で医学部を目指す場合、学校の授業が非常に大事になってきます。医学部受験をする子の多くは、いわゆる進学校に通っている生徒がほとんどです。県内トップに数えられる高校なら難関大学の受験ノウハウは持っており、先生たちも熱心に指導してくれるでしょう。しかし、私から見ると進学校にも弱点はあります。

医学部レベルの問題に教師が即答できないことも……

トップ校では受験を想定して高校3年間のカリキュラムが組まれており、高校2年生までに全教科・科目の教科書は習い終わります。3年生は受験対策のための演習中心です。難関大学を志望する生徒が大半のため、教師も自分の教科・科目については知識が豊富で、難しい問題を質問しても即答してもらえることが多いはずです。
ただし、医学部受験の場合は、一般的な“難しい”のレベルよりも何段階も上の難しい問題が出題されたり、本質を理解していないと答えられない“シンプルだけれども奥が深い”問題が出題されるため、進学校の教師でも即答が難しいことがあります。

安全志向で“攻めの進路指導”ができる教師が少ない

進学校では過去の生徒たちの実績から、大学受験に必要な偏差値などのデータが独自に蓄積されています。また、大手塾・予備校の全国模試など公の資料も参考にしながら進路指導をします。そのため、受験校選びの精度は高いと評価できます。ただし、安全圏の大学を進められることが多いです。大きな理由として、本人の偏差値より高いチャレンジ校を受けさせるよりも合格という結果を優先させているからです。
そもそも学校の教師はクラスに数十人いる生徒の一人ひとりについて詳細な学力までは把握できないでしょう。その子がこれからまだ伸びそうか、どこが弱点で伸び悩んでいるのか、普段どういう勉強をしているのかなどは、日常的にその子の勉強のやり方や解き方のクセなどを見ていないと知りようがないのです。
そのため、模試や校内テストの数字から「この偏差値なら、この層の大学」と自動的に受験校を当てはめるやり方になってしまいがちです。

医学部受験では自分の偏差値以上のチャレンジも必要

しかしながら、医学部受験は偏差値が65オーバーが当たり前の世界で、70以上も普通にあります。高偏差値の医学部を合格圏内で受験できる子というのは、決して多くありません。つまり、偏差値が多少足りなくても“攻めの姿勢”で挑戦することも必要になってきます。
もちろん無謀すぎる挑戦は私もさせませんが、「もう少しで手が届く」「この子なら最後のひと頑張りができる」「弱点の克服法が見えている」などの場合、現時点の偏差値が足りなくても挑戦させます。私の塾では実際に、最後の最後、私や講師がお尻を叩いて合格ラインを越えさせてきた例がたくさんあります。

学校の成績に満足して受験対策が甘くなりがち

もう一つ、学校の授業と自習だけで医学部受験を目指すことのリスクは、「学校の成績が良いばかりに本人が安心(慢心)してしまい、受験を甘く考えてしまったり、モチベーションが続かないことがある」点です。
学校では医学部以外の大学・学部を目指している子が多くいて、そういう子と医学部を目指す子では、到達すべきレベルが違うのにも関わらず、「学年1位、2位」という数字に惑わされて安心してしまうのです。「進学校でトップクラスの順位なら、医学部にも入れるだろう」という希望的観測によって勉強が甘くなったり、危機感がないためにモチベーションが切れやすくなったりします。
その点、医学部専門の塾や予備校に行っていれば周りが医学部受験をする子ばかりで、必然的にハイレベルな環境に身を置くことになります。学校で1番でも塾では下位ということも当然あり、現実を知ることができます。また、当塾では講師も医学部出身者や現役医学生がほとんどなので、医学部受験の厳しさを折に触れてリアルに話して聞かせます。そうすると、自分がまだまだ安心できるレベルにないことに気付き、目の色が変わって勉強する子が多いのです。

独学で医学部を目指す子に伝えたい3つのポイント

独学で医学部を目指そうとする場合に、アドバイスが3つあります。1つめは「早くから受験用の勉強をする」、2つめは「基礎・基本を大事にする」、3つめは「今の自分の課題に合わせた問題集を解く」です。

高校1年から医学部受験用の勉強をしよう!

学校の授業は大事にすべきですが、学校の成績だけにとらわれていると、肝心の受験勉強が手薄になりがちです。高校1年生のうちから医学部受験を意識して、計画的に学習していきましょう。高2の終わりまでに受験科目の基礎基本は頭に入っている状態が理想です。そして、高3になったら本格的な受験対策を始めます。

基礎・基本を大切にしよう!

医学部受験というと難度の高い問題を解かなくてはいけない気がしますが、最も大事なのは基礎・基本です。特に国公立医学部を目指す場合は、テクニックだけでは太刀打ちできない問題が出題されます。その定理や公式がなぜ成り立つのかなど“本質”の部分まで理解するようにしましょう。

今の自分に必要な問題集を見極めよう!

時間を無駄にすることなく効率的な勉強をしていくためには、自分に合った問題集を選ぶことが大切です。基礎が甘いのに高度な応用問題を解いても実力はつきません。また、弱点を克服することばかりに目が向いて、強みを伸ばすことを忘れても勝負に負けてしまいます。
 今の自分の課題は何なのかを正しく見極めて、その課題を解決できるテキストを正しく選びましょう。「有名な問題集だから」「友達が良いと言っていたから」「カリスマ講師の監修だから」という理由で安易に選ぶと、ピントのずれた遠回りの勉強になってしまうので気をつけてください。

まとめ

独学で受験勉強する場合、今は医学部受験のコツや体験談を紹介した動画やSNSなどもネット上にあるので、そういうものを活用する手もあります。ただし、的外れなアドバイスをしているサイトも時々見かけます。正しい情報、有益な情報を賢く取捨選択することも受験勉強では大事です。
 独学でやってみて、どうもうまく行かない、1人だとモチベーションが上がらないなどの場合は、1人で悩まないでください。その時間がもったいないです。早めに的確な助言ができる人に相談することをおすすめします。

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